不動産売買契約書 その2

釧路市の行政書士  あおば行政書士事務所です。

先日の不動産売買契約書の基本的な項目として例示していた手付金とこれによる手付解除についてお問い合わせがありましたので一般的なお話として、もう少しご説明します。
なお、これからご説明することは、全ての契約に当てはまるものではなく、個別の契約に関しては、他の契約内容等により異なります。

■手付金について。
不動産の売買は、高額な取引であることや、金融機関からの融資を利用することも多いことから売買契約締結時に代金全額を支払うケ-スはあまり多くありません。
そういった場合には、契約締結時にまず「手付金」を支払い、さらに契約の内容によっては「中間金」そして最後に「残代金」を支払う流れとすることがあります。
手付金として支払われた金銭は、残代金支払のときに売買代金の一部に充当されます。
手付金の額に制限はありませんが、手付金があまりに低額の場合には、下記で説明する手付放棄、手付の倍返しによる解除をしやすくなるため、契約の拘束力が非常に弱くなってしまい、反対に手付金が高すぎると、解除権の行使を不当に制約することも考えられるため売買代金の5%~10%位が一般的な相場となっています。


■手付解除について
不動産売買契約における手付けは、特別の意思表示がない限り、解約手付の性質を有するものと推定されます。解約手付とは、「買主であれば手付金額を放棄、売主であればその倍額を償還することにより契約を解除できる」という内容の解除権を留保する目的で交付される手付金をいいます。
この解除には、特別な理由は必要ありません。
民法では、手付解除ができるのは『相手方が履行に着手をするまで』とされています。
しかし、『何をもって履行の着手とするのか?』については明確な基準がなく判断が難しいのが実情です。
また、手付解除は自分の解除権があるのと同時に、相手方から契約解除される可能性があるため
契約自体が不安定な状態でもあります。
ですから、手付解除については、契約書であらかじめ解除できる期限を定めることが一般的です。
この場合には、『履行の着手』の有無にかかわらず、売主・買主どちらもその期限の経過により手付解除ができなくなり、契約の拘束力は強まります。

手付金、手付解除ともに契約当事者双方で相談のうえ設定することが望ましいでしょう。

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2016年08月21日